「青春クイズ カラフルハイスクール」を自宅で遊ぼう(その2)【アーケードゲーム】
「青春クイズ カラフルハイスクール」タイトル画面(RGBモニター使用)。アーケードゲームだから当たり前だけど「お金を入れてね」が生々しいですね(^^;。
さて、今回は「青春クイズ カラフルハイスクール」を自宅で遊ぶための方法を紹介致します。
まずは必要な物を準備しましょう。
①コントロールボックス
ゲーム基板に電源を供給する。基板からの画像・音声信号を家庭用テレビ(ビデオ端子やS端子等)もしくはRGBモニターに繋げる様に変換する。コントローラーの信号を基板に伝える…等の機能を持つ物です。写真はコントロールボックスとコントローラー部分が一体化したもの(シグマ電子 雷神Ⅲ・定価35,490円)。
ちなみに私が使っているのはコントロールボックスとコントローラー部分がセパレートになってるタイプです。(シグマ電子・コントロールボックスAV-7000、コントローラー9000TB)。一体型よりはちょっと高いです。
②JAMMAハーネス
ゲーム基板とコントロールボックスを繋ぐ配線を「ハーネス」といいます。
「カラフルハイスクール」の基板はJAMMA(日本アミューズメントマシン工業協会)で決められた規格に準処してますので「JAMMAハーネス」というものを使います。コネクタと線材さえあれば自分でも作れますが、コントロールボックス側のコネクタがコントロールボックスのメーカーによって違ったりするので基板屋さんで「○○のコントロールボックスに使うJAMMAハーネス○○㎝」と告げて完成品を購入する方がお手軽です。
JAMMAハーネスのゲーム基板に付ける方の56ピンコネクタは写真のように「部品面」と「ハンダ面」と表記があります。「部品面」のシールの方をいろんな部品が付いている面に向くように付けます。間違えると基板を破壊します。簡単に逆方向に付きますのでこの確認はクセをつけて必ず行うようにしましょう。
スイッチは付いていますが、これはテストスイッチ(基板のテストや設定画面に入るためのスイッチ)で大体基板屋さんでハーネスを作って貰うとテストスイッチ(場合によってはサービススイッチも)はこの様にスイッチ取り付け済みで作ってくれることが多いです。
③家庭用テレビもしくはRGBモニター(カラハイの場合は水平同期周波数15KHz対応の物)
RGBモニターの方が画質は段違いで綺麗ですが、わざわざ用意しなくてもコントロールボックスを使う場合は普通の家庭用テレビが使えますので特別画質に拘る人以外はテレビで充分だと思います。
必要なものが揃ったところで家庭で遊ぶための方法を見ていきましょう。
具体的な方法は私がヘタに説明するよりも、詳しく解りやすく説明されているサイト様があるのでご紹介致します。この「カラフルハイスクール」に対する思い入れと愛情たっぷりの管理人さんが運営されているサイトです。(リンクは許可を頂いています)
「カラフルハイスクールをおうちで遊ぶ」http://www.geocities.jp/colorful_m/colorful.html
こちらのサイト様の「工作篇 其の壱」と「工作篇 其の弐」をまずは熟読下さい。記載されている方法どおりに必要な物を自作すれば自宅で「カラフルハイスクール」を遊べるようになります。なおサイト内に記載されてますよう、先方のサイト様では作成代行や販売などはされてません。また先方様に質問などもご遠慮下さい。(リンクを許可して頂いた以上、こちらの記事のせいで先方にご迷惑を掛けることは本意ではありません)。
逆にリンク先に記載されている内容が理解できないようであれば製作は難しいと思います。アーケード基板を自宅で遊ぶためには最低限これが理解できるくらいの電気知識やハンダ作業は必要不可欠だと言う事ですので、わからなければご自分で理解できるまで勉強して頂くしか無いです。言い方が厳しいかも知れませんが、趣味というものは自分がやりたい事があれば理解できるよう勉強するのはどんな趣味でも当たり前のことだと思いますので。(私も最初は何も解りませんでした…)
私もリンク先のサイトさんを参考にして製作を行いました。実際にどういう風に作ったのか補足と合わせて紹介してみたいと思います。
まず、全体的な接続図はこのようになります。(毎度汚い手書きですみません)
①変換コネクタの製作
ヒロセの56ピンエッジコネクターとセイミツの56ピン用カードコネクタを用意しました。カードコネクタの幅が広くて入らないので両端を少しヤスリで削ってあります。
適当な8芯ケーブルが無かったので、ジャンクのネオジオコントローラーからケーブルを取りました。14芯くらいあるので半分くらい使わないですけど。
まずは直結する端子を半田付けして、一応導通確認をします。
参考サイト様の作例に倣って配線をしていきます。
J5端子から音声を取るためのEiコネクターが近所に売ってなかったのでパソコン用のケーブルを流用します。
参考サイト様の作例通り完成です。
この様に繋いで使います。要は基板とJAMMAハーネスの間に入れて信号を割り込ませるための変換コネクタなんですね。(音声のラインは他の基板にも使えるようにキボシ端子も取り付けたので上の完成写真とは微妙に変わっています。)
②クイズパネル(コントローラー)
今回は加工のしやすいタッパーを使って作ることにします。
大きな穴を開けるには写真のような「ホールソー」という電動ドリル用の穴開け刃を使うと加工が楽です。
穴開け加工をしたところ。
本来なら作例通りこういう「ファストン端子」を使うと後にボタンの使い回しが出来たり、接続を変えることによってボタン配列を変えるとか便利が良いのですが、今回は「カラフルハイスクール」専用にするつもりなのと「面倒くさいので(笑)」ボタンへの配線はハンダ直付けとしました。
配線後です。
完成です。
さて、ここからは余談です。
①「こんな工作、とてもできねぇよ」という方、実はコントロールボックスのみでもどうにか遊ぶことは出来ます。
この表を見て下さい。
これはJAMMA規格で決められている56ピンエッジコネクタの各端子の説明です。JAMMAに準処した基板であればたとえどんな基板であろうとまずこの配列であることが全ての基本です。これを踏まえて下の表をご覧下さい。
左がJAMMA規格の基本表、右がカラフルハイスクールの基板の端子説明です。黄色の部分を見てみると各クイズの回答ボタンはJAMMAではジョイスティックの方向に割り当てられています。ということは遊びにくいのさえ我慢すればジョイスティックで遊ぶことは可能です。
ジョイスティック上→1番
ジョイスティック下→2番
ジョイスティック左→3番
ジョイスティック右→4番
②取り扱い説明書について
自宅で基板を遊ぶ場合、やはり取扱説明書はあった方が良いです。基板を買うときになるべく取説の付いてる物を買いましょう。
取説にはコネクタの説明やテストモードでの各種テストや設定の詳細が書かれています。自作したクイズパネルの各ボタンの動作確認などもこのテストモード内で出来るようになっています。ステレオ音声の取り方なんかも載ってますのでこれがあると無いとではかなり違ってきます。
またきちんと取説類が付いているとリリース後に判明した不具合等の情報も入手できます。上は「カラフルハイスクール」のバグ(正解番号が間違っている問題が見つかった)を知らせる書面で、該当の問題が出題されないように対処するための方法が書かれています。こういう情報も家庭で遊ぶ上ではとても大事だと思います。
あと、本当の余談。
実はアーケードゲームの基盤を買って自宅で遊ぶというのは90年代半ばに爆発的なブームになりましたが、2000年代に入って徐々に下火になっていき、近年ではホントに好きな人たちだけのニッチな趣味になってるんですね。そういう状況の中でこの趣味を初めてみようという方にはなかなか勉強しようにも参考になるものがありません。そこで1冊の本を紹介しようと思います。
かなり古い本なのですが、96年にリイド社から発行された「ゲーム遊Ⅱ 特別編集 部屋をゲーセンにする!! 基板達人への道」という本です。古本屋かオークションで探すしか無いと思いますし、載ってる内容はさすがに古くて使えない物もありますが(基板屋さんの情報とか)、JAMMA規格の基板で遊ぶための方法が1冊によくまとまってるという意味では多分唯一の本だと思います。
以上ですが、いかがでしたでしょうか?。今回作成した変換コネクタやクイズパネルは「カラハイ」だけでなくJAMMA規格で作られた他のクイズゲームにも使用できますので、苦労して作る甲斐はあると思います。すこし敷居が高く感じるかもしれませんが、ぜひ頑張って自宅でアーケード基板を遊ぶ楽しさを味わっていただけたらと思います。
でも最近「カラフルハイスクール」の基板、値上がりしてるんですよね(8,000円~10,000円)。私が入手した1年半前は3,150円だったんですが…。
最後にリンクを許可して頂きました「カラフルハイスクールをおうちで遊ぶ」の管理人様、本当に有り難うございました。
また他のアーケードゲームも紹介してみたいと思います。
「青春クイズ カラフルハイスクール」を自宅で遊ぼう(その1)【アーケードゲーム】
「青春クイズ カラフルハイスクール」のゲーム基板とゲームセンター用POPポスター。
これを書いてるのは3月31日なのですが、この年度末に東京では銀座の名画座シネパトスが閉館、関西では京阪電鉄の歴史有るテレビカーが引退、と個人的には時代の流れを感じて何となく寂しいニュースが続きました。
昔を懐かしんでばかりいても仕方が無いのですが、どんどん窮屈になっていく現代社会に身を置いてるとあの何事にもおおらかだった時代がとても光り輝いて思い出されてしまいますね。
さて、今回からは個人的に思い入れのあるちょっと昔のアーケードゲーム(ゲームセンターのゲーム)を紹介しながら、なおかつそれを自分で所有して自宅で遊んでしまおうと言う事で書いていきたいと思います。以前にも業務用のネオジオシステムであるMVS(マルチビデオシステム)を自宅で遊ぶ方法を紹介しましたが、その続きをやろうかなと。
最近のアーケードゲームは大掛かりかつ複雑になっていて個人で入手して自宅で…というのは結構大変なのですが、ちょっと昔のアーケードゲームなら意外と簡単に自宅で遊べるんですよね。もちろんある程度の知識と投資は必要ですが。
「わざわざ金と手間ヒマかけてそんな事しなくてもコンシューマー機(家庭用のゲーム機)に移植された物で遊べばそれでいいじゃん」。ごもっともです。しかしアーケードゲームの基板を自宅で遊ぶのにはちゃんと意味があります。
①家庭用ゲーム機に移植されておらず、なおかつ古くなってゲームセンターからも撤去されたゲームが遊びたければ自分で基板を所持するしか無い。
②家庭用に移植された物は「家庭で遊ぶ」という事情ゆえに内容の一部が変更されているものがある。また、どんなに忠実に移植された物でも細かい部分でオリジナルと全く同じにはならない。従って「本物」で遊びたければ自分で基板を所持するしか無い。
…という事です。まぁ好きだからこそ拘る、という世界ですけど。
このブログで取り上げるのは主に以下の条件を満たす(家庭で遊びやすい)アーケードゲームです。
①家庭で手軽にアーケード用ゲーム基板で遊ぶための「コントロールボックス」という装置で遊べるもの。
②接続が比較的簡単な「JAMMA規格」に準じた1980年代後半から2000年代初め頃までのもの。
それでは、ちょっとややこしい話もあるかとは思いますがどうぞ読んでやって下さいませ。
…てな訳で、第1回は2003年春にリリースされたナムコの恋愛シミュレーション+クイズゲーム「青春クイズ カラフルハイスクール」(通称 カラハイ)です。
PS(プレイステーション)の上位互換基板でリリースされたゲームでありながら、なぜかプレイステーション他の家庭用ゲーム機に現在でも移植されておりませんが、それゆえギャルゲー好きのコアなファンが結構今でも多いゲームです。(2008年にiモードアプリなど当時の携帯用には移植された。もっとも今となってはiモードなんて過去の物ですが)
2012年4月の「ゲームセンターCX 16シーズン」の第1回目に赤羽のゲーセンで有野課長がプレイしてましたね。
どんなゲームかはあれこれ説明するよりまずニコニコ動画にアップされているこちらの動画を見て頂くと良くまとまっていて解りやすいと思います。ただこの動画はエンディングまで全て紹介されてますので、これからこのゲームを遊んでみたいと思われる方でネタバレが嫌な方は途中ある程度までで再生を止められることをお勧めします。
元々このゲームは90年代半ばにナムコがアーケード向けに出していた、クイズの回答状況により子供がいろんな人間に育っていく「子育てクイズ マイエンジェル」シリーズというゲームがありまして、それの恋愛シミュレーション版といった形で1999年頃に東京ゲームショウだったかな?(ちょっと正確に覚えてないんですが)で開発中であることが発表されました。
その時のタイトルは「恋愛QUIZ ハイスクールエンジェル」。名前から「子育てクイズ マイエンジェル」の系譜だと言う事がわかります。発表時のパンフレットがこちらです。(我ながら物持ちがいいのに呆れてしまいますが(^^;)
「私のことどう想ってるの?クイズではっきり答えて!」って言われても…「何でクイズやねん」って感じですが(笑)。
ところがこの後、開発がストップして数年間お蔵入り状態になってしまいます。原因は実際に開発を担当していた会社との間にトラブルが発生したなど諸説がありましたが、あくまで憶測の域を出ず、現在でも正式に理由は発表されていません。
そしてそんな事も忘れ去られかけた2002年末に突如としてこの作品が復活し、2003年春発売が正式に発表されました。
当時のプレスリリースがこちら。
余談ですけど、新品の価格って168,000円もするんですね。でも業務用ではこれでも全然安い方なんですよ。
同時に最初の発表時からいくつか変更があったこともわかりました。
①タイトルが「青春クイズ カラフルハイスクール」になったこと。
②ゲーム中の期間が「高校3年間」から「高校3年生の1年間」になったこと。
③キャラクターの名前が変更されたこと。
真面目キャラ 芹川 優里→神崎 未来(そういや現在、「美人過ぎる市議」に「藤川優里」って人がいますね)
お嬢キャラ 西園寺 玲香→九条 彩華
俺っ子キャラ 逢瀬 真琴→猪戸 恵
オタクキャラ 梓沢 ちひろ→高村 真理絵
④システム基板が「システム12」から同じプレイステーション上位互換基板ながらより2D処理に特化し、コストダウンした「システム10」になったこと。
…等が主な変更点です。
ゲーム内容については現在もバンダイナムコに公式HPが残っていますので、こちらをご覧下さい。
↑ゲームのインスト(インストラクチャーカード)の一部。だからなんで「クイズと共に」やねん。無理あるやろ(^^;。
アーケードゲームというのはいかに客の回転を良くして、どれだけハマってお金をつぎ込んでくれるか、というのがキモなのですが、このゲームはその性格上、登場人物が全員紹介されるまで100円で9分近く遊べます(そこまでにクイズ2問だけは答えなければいけませんが)。
また、そういう意味からアーケードゲームはストーリー展開がテンポ良くパパッと進むのが普通なのですが、このゲームは結構各ヒロインのシナリオの出来も良く、その点でもファンが多いです(さすがに時間に関係なくじっくり遊べる家庭用ほどのシナリオ分量はありませんが)。
クイズゲームとしてみても難易度はそれほど高くなく、ジャンルも非常にバランス良く出題されますので(問題は全部で7,000問だそうです)取っつきやすいのでは無いでしょうか。
演出面ではとにかくキャラが良く動きます。こんなにキャラがアニメーションするクイズゲームってこれくらいじゃないでしょうか。
そしてなんと言ってもキャラクターデザインが「アイドルマスター」でおなじみの窪岡俊之さんです。私、昔から窪岡さんの絵が大好きなんですよね。「アイドルマスター」も窪岡キャラじゃなかったらあそこまでハマったかどうか…。
さらに、声優さんが「那須めぐみ・たかはし智秋・斉藤千和・植田佳奈」と超豪華!(もっともこのゲームが作られた当時はまだ駆け出しだったのですが、今となっては凄いメンツとしか言いようが無いですね。残念ながらフルボイスではありませんが…。)
また、キャラデザが窪岡氏、声優さんの一人がたかはし智秋さんだと言う事でよくこのゲームは「アイドルマスターの原点」と言われる事が多いのですが…確かにスタッフさんの中には「ディレ1」こと石原氏や「ディレ3」こと深見氏の名前も見受けられますし、女の子とのコミュニケーション方法なんかには「アイドルマスター」のコミュの原型が感じられる部分もあるのですが、正確にはこの「カラフルハイスクール」と同時期のナムコの名作(迷作?)ゲームで当時としては画期的なモーションキャプチャーが話題になった「ダンシングアイ」というゲームが融合して後の「アイドルマスター」に繋がって行ったんじゃ無いかと個人的には思っています。だから「アイドルマスター」とこのゲームはいわば「姉妹」的な感じがします。
どうです?遊んでみたくなったでしょ?。
さてゲームの紹介はこのくらいにして、記事が長くなるので次回(その2)で実際にこのゲームを家庭で遊べるようにしてみたいと思います。さすがにコントロールボックスなど必要なものがありますのでいつものように「激安」とはいきませんが、コントロールボックスがあれば他のいろいろなアーケードゲーム基板が遊べますので、アーケードゲーム基板に興味にある方は初期投資としてみれば価格なりの価値はきっとあると思います。
そして次回までにぜひ訪問していただきたいサイトをご紹介します。こちらの管理人さんはこの「カラフルハイスクール」に魅せられ、家庭で遊ぶための方法をHPにて紹介されています。このゲームへの熱い思い入れから家庭で遊ぶための方法を非常に丁寧に解説されています。私がへたな説明するよりはるかに解りやすいので、次回の私の記事はこちらのサイトさんを参考にして自分はどうやったかを補足しながら進めていこうと思っていますので、ぜひ訪れて見て下さい。このゲームを愛してやまない管理人さんによる素敵なサイトです。(リンク許可はいただいています)
「カラフルハイスクールをおうちで遊ぶ」http://www.geocities.jp/colorful_m/colorful.html
私の家でも「カラハイ 絶賛稼働中!」でございます。
それでは次回もよろしくお願い致します。一人でも多くの方にこのゲームを愛してもらえますように…。