192KHz/24bit対応のUSB DACを作ってみた(CM6631AとFN1242A)
今年のお正月。毎年この時期は1週間程度のお休みが貰えるので今年も何か作ることにしました。
お題に選んだのは192KHz/24bitのPCMハイレゾ対応のUSB DACです(USB接続のデジタル→アナログコンバーター)。
最近は以前Raspberry PIとFN1242Aを使ったDACを組み合わせて作った自作ネットワークプレーヤーを使ってVolumioで音楽を聴いていたのですが、これが今ひとつ安定せずネットワークが度々切れたり、サンプリング周波数の切り替え時に「ブツッ」というノイズが出るなど、中々ストレスが溜まっておりました。
もう一つ、Voyage MPDをセットアップした環境もあるのですが、こちらは安定しておりノイズの問題も無いのですが、96KHz/24bitまでしか対応してない中華製の安物のDACしか持っておらず今ひとつ好みの音質で無く…。
FN1242A DACの出す音は非常に気に入っており、またFN1242Aが叩き売られていた頃、確保しておいたものがまだ2個手元にあるし。Voyage MPDやWindows PCで使える192KHz/24bit対応のDACが欲しかった事もあり、今回FN1242Aを使って作ることにしました。
じゃあ、DACはFN1242Aを使うとして、192KHz/24bitに対応したUSB DDC(デジタル→デジタルコンバーター)はどうしようかと調べたら、すでに2年ほど前に自作に向いた基板の形でI2S出力可能なCM6631Aを使った安価な基板が話題になっていたことを知りました。
(写真は3.3Vを外部供給するため、ピンヘッダに取り替えた後のものです)
CM6631Aはチップ単体で手に入れる事が難しいため、今回はこの基板を利用することにしました。この基板は国内では手に入らないため、ebayにて注文、10日ほどで到着しました。ちなみに価格はUSドル28.99と格安。
USBを入力して出力は光と同軸、そしてI2Sです。今回は当然ですがI2SによるDAC直結の仕様とします。
ネット上にあるこの基板の写真はどれもVer.1.2と書かれていてビーズが付いて居るのですが、私の購入したものはVer.1.3となっており、ビーズ類は一切付いておりませんでした。
なので特に改造する必要も無く、手を加えたのはここだけ。
USBコネクタから入ってすぐの所にUSBのバスパワー5Vを3.3Vに変換する小さなレギュレーター(AMS1117)があるのでそれを取り払ってL型のヘッダピンを付けました。ランドが3つありますが写真左側から入力5V,GND,出力3.3Vです。バスパワーから3.3Vを得るよりはトランス電源から安定化した3.3Vを供給して使った方が良い結果が得られると思ったので。
今回の回路図は以下の通り。
まずは電源部。(クリックすると拡大します)
まあいつものバカの一つ覚え的な安定化電源ですけど、トリプルトランスで+-12V(オペアンプ用)、アナログ用5V,デジタル用3.3Vの計4系統の電源を作ります。デジタル3.3VはCM6631A基板がどの程度の電力を食うのかわからなかったので、USB1ポートの規格0.5Aと想定してあとは同じ3.3Vを使う周波数表示用LEDの基板とFN1242Aのデジタル部での使用電力を加味して0.8Aとしました。多分大きすぎるんだけど、省エネという観点を除けば電源容量は余裕があるに超したことはないしね。
続いてFN1242A DAC部。
FN1242Aのデータシートリファレンスそのままです。今回は少し贅沢な作りにしたかったのでオペアンプは1個3,400円もする新日本無線のバイポーラオペアンプ、MUSES02を使います。あと電解コンデンサーも東信工業のUTSJシリーズを使うことにしました。
この他にサンプリング周波数を4桁のLEDで表示するために、お気楽オーディオキット資料館様で頒布されている4桁LED基板を使います。
部品表は以下の通りです。
まずはCM6631A DAC基板が正常に動作しているか(故障してないか)確認します。
I2S出力端子からの周波数・波形を全て確認しました。正常に動作しています。
ということであとはサクサク組み立てていきます。
部品発注の時に間違って28ピンのICソケットを幅30milの狭いもので発注してしまったので(本当は幅60milを買わなくちゃ行けなかった)真ん中でカットして無理矢理使ってます(^^;。
今回もお世話になるFN1242A。今はプレミア価格が付いてしまっているので、8年前に買っておいた自分を褒めてあげたい気分です。このDACチップが出す音、好きなんです。しかし、年々老眼が進んでこういうSSOPチップのハンダ付けが辛くなってきました。あと何年工作が出来るかなぁ。
板の上にバラック配線を組んでの電源基板テスト。規定電圧を確認。
続いてバラック配線での動作確認。一発で音が出ました。ジャンクスピーカーでのテストですがいい音で鳴ってます。
ケースはタカチのSLシリーズを使います。配置を検討中。
ケース実装完了です。
トランス・電源部。
CM6631A DDC基板。アルミサッシケースはフチギリギリまで部品配置が出来ないのでこういう形に。
4桁LED基板。周波数判別用のPICと4桁7セグメントのLED駆動部分がコンパクトに実装されているので使いやすいです。
FN1242A DAC基板。以前作ったモノよりは少しはコンパクトになったかな?
ちなみにかなり恥ずかしいのですが、私はもともとそんなに手先が器用ではないし、左手に障害があるのであまり基板の実装とか得意ではありません。
電子工作初心者の人が良く疑問に思うのは人の自作品を見ていて、「基板裏の配線ってどうやってるんだ?」って事だと思います。ほとんどの人が自分の基板の裏の配線って見せませんよね。
なのでかなり恥ずかしいのですが、下手な見本として私の基板裏を公開してみようと思います。「こんな下手くそなハンダ付けや実装技術でも電子工作やキットの改造って出来るんだ」って自信持ってもらえれば幸いです。要は配線間違いやショートなどが無ければちゃんと作れるんですよ、と言うことで。
DAC基板表
そして裏。超恥ずかしい(^^;
まあ、何はともあれ完成です。前の記事でt5630wシンクライアントPCにセットアップしたVoyage MPDで使用していますが、非常に解像度が高いわりに耳にキツい感じが無く、とてもクリアな良い音だと思います。もう私にはこれで大満足。Voyage MPDとこのDDC+DACとシャープ1ビットアンプ改の組み合わせで今の私には十分です。これで192KHz/24bitまでのハイレゾも対応するし(もっともうちの音源は44.1KHzのCD音源がほとんどですがそれでも十分満足です。今は「なんちゃってハイレゾ」音源も横行していますしね)。
ちなみにWindows環境ではC-Mediaのドライバをインストールすることで無事認識しました。まあ、あくまでVoyage MPDで使うつもりで作ったのでこの辺はオマケなのですが。
今回のお正月工作は大満足!。しばらくまた音楽を聴くのが楽しみになります。私もいい年齢なのでシャカタクやカシオペアを聴いてまったり楽しみたいと思います。
次は何をつくろうかな。GWに休みが取れれば考えようっと。
【Voyage MPD】0.10.0のインストール全手順(t5630w・その3)
それではインストール後の細かい設定をしていきましょう。
【一部画面写真を撮り損なって以前の記事の画面を使い回しているものや、打ち損じてエラーメッセージが出ている画面がありますが、気にせず手順通り作業を進めて下さい。それでちゃんとインストール・設定出来るはずですので】
①再起動をしたのでIPアドレスが変わっている可能性がありますので再度t5630w側でIPアドレスの確認をします。
「Voyage Login」と出たらroot(初期設定のアカウント)と入力しenterを押す。
「Password」と出たらvoyage(初期設定のパスワード)と入力しenterを押す。
root@voyage~#からifconfigと入力しenterを押す。
「inet addr:192.168.×.×」の値をメモします。
Windows PCでSSHソフト「putty」を再起動します。
「ホスト名」の所にメモしたIPアドレスの数字(192.168.×.×)を入力して「開く」をクリック。
もしこんな画面が出たら「はい」をクリックしてください。
この画面が出たらt5630wとの通信は成功しているのでlogin as:でrootと入力。
passwordにはvoyageを入力。
この画面が出たらt5630wとの再接続は成功です。
②これから変更する設定を保存できるように以下のコマンドを入力します。
remountrwと入力する。
(これをやらないと書き込みモードにならずせっかく設定を変更しても保存されません。)
③アップデートをします。
apt-get updateと入力。
コマンド待ちに戻ったら終了です。
④ファイルの中身を編集するためのエディタですが、標準装備のviエディタが慣れないと非常に使いづらいので、今回はnanoというエディタを使うことにします。そのnanoをインストールします。
apt-get install nanoと入力。
コマンド待ちに戻ったら終了です。
⑤.bashrcというファイルを編集します。
nano ./.bashrcと入力。
ファイルが開きます。
nanoの使い方はググっていただければ解説しているサイトがありますので、詳しくは調べて頂きたいのですが、簡単には ←→↑↓でカーソルを移動、enterで空白行挿入、backspaceやdeleteキーを使いながら文字を入力、修正し、最後にctrl+x→y→enterでセーブして終了、ctrl+x→nでセーブせずに終了になります。
慣れないうちはちょっとでも失敗したと思ったらセーブせずに終了してやり直す方が確実です。
最終行の1つ前の行に以下の3行を追加してセーブして終了します。
remountrw
mpd -kill
/etc/init.d/mpd start-create-db
⑥IPアドレスを固定する。
起動する度にDHCPで違うIPアドレスが割り当てられるのを防ぐためにVoyage MPD(t5630w)のIPアドレスを固定します。
nano /etc/network/interfacesと入力する。
DHCPを使わないのでiface eth0 inet dhcpの前に#を挿入してコメント行にする(この行を無効にすると言う事です。画面写真では消してしまっていますが、別に消しても問題ありません。)
その下に以下の行を追加します。
iface eth0 inet static
address 192.168.0.X
netmask 255.255.255.0
network 192.168.0.0
broadcast 192.168.0.255
gateway 192.168.0.1
dns-nameservers 192.168.0.1
ここでxには他のネットワーク機器で使ってない番号を指定します。
2~254までの番号が使えますが、あまりDHCPが自動で割り当てない大きめの数字を使うと良いでしょう。(割り当てが他の機器とダブると誤動作の原因になる)
(上の例では128を使っています。)
ここで設定したIPアドレスがVoyage MPD(t5630)のIPアドレスとなります。
また、上の例ではルーターのIPアドレスが192.168.0.1の時の例ですが、ルーターのIPアドレスが192.168.1.1になっている環境の場合はnetmaskを除く各アドレスの3桁目を1に変更して記述して下さい。(例えばnetworkの所なら192.168.1.0とする)
追加、修正が終わったらセーブして終了します。
⑦日本時間の設定
dpkg-reconfigure tzdataと入力する。
この画面が出るのでAsiaを選ぶ。
次にこの画面が出るのでTokyoを選んでenterで終了。
日本時間が表示されるので確認して下さい。
⑧アップグレードの実行
apt-get upgradeと入力。
コマンド待ちに戻ったら終了。アップグレード項目が無い場合もあります。アップグレード対象の項目がある場合は文字列がズラズラ出て来た後「Do YOu Want Continue?」と聞いて来ますのでYを答えて下さい。(今回の例では「mpd.conf」というファイルのアップグレードがあるがどうしますか?と聞いてきたので現在のファイルを維持する「N」(デフォルト値)を答えています。アップグレード内容によってはこのように質問してくる場合があります)。その後コマンド待ちに戻ったら終了です。
⑨日本語環境のインストール
apt-get install localesと入力。
apt-get install fbtermと入力。
続けるか聞いてくるのでyを入力。
dpkg-reconfigure localesと入力。
この画面が出たら ja_JP.UTF-8 UTF-8を選択してenterを入力。
コマンド待ちに戻ったら終了。
⑩再起動
rebootと入力してVoyage MPD(t5630w)を再起動する。
windows PCでSSHソフト「putty」を再起動します。
今度は先程固定したVoyage MPD(t5630w)のIPアドレス(先程の例では192.168.1.128)を「ホスト名」の所に入力して「開く」をクリック。
もしこんな画面が出たら「はい」をクリックしてください。
この画面が出たらt5630wとの通信は成功しているのでlogin as:でrootと入力。
passwordにはvoyageを入力。
この画面が出たらt5630wとの再接続は成功です。
①alsa(Advanced Linux Sound Architecture)のカード番号の確認
cat /proc/asound/cardsと入力。
ここでUSB-DACがVoyage MPDに認識されていればこのようにカードとして表示されるはずです。今回の例では自作USB DAC(DDCチップはC-MediaのCM6631A)がカード番号0番として認識されています。これが出ないと言う事はVoyage MPDで認識できないDACである可能性が高いです。今回の例はDACを使っていますがDDC等でも同じです。
認識できていれば次に進みます。
②mpd.confの設定
Voyage MPDの設定の一番の肝であるmpd.confの設定を行います。
修正間違いの無いように十分注意して設定を行って下さい。
nano /etc/mpd.conf と入力。
まずスクロールしてalsaの設定箇所を捜します(ファイル中程くらい)。ここのdeviceの記述が"hw:0,0"であることを確認します。(あくまで今回の例の場合)。この左側の番号がカード番号なので先程確認したDACに割り当てられたデバイス番号とちゃんと一致しているので設定と整合性が取れているということになります。
次にmixer_typeの記述を捜し、先頭の#を取って有効化します。今回私の場合はは音質面の理由でソフト側でボリューム調整を行わずDACやアンプ側でボリューム調整を行いたいのでdisabledと記述しました。
最後はファイルの最終行の1つ前のmixer_typeの記述です。この行は良く安定動作に異常をきたす原因になるので設定にかかわらず先頭に#を付けてコメント行にして無効化した方が良いと思います。
以上の設定が済んだらセーブして終了です。
③NASの共有フォルダのマウント
nano /etc/fstabと入力。
最終行に以下の1行を追加
//192.168.1.X/yyyy /music cifs username=zzzz,password=aaaa,uid=root,iocharset=utf8 0 0
(空白や文字間違いに注意して下さい)
ここでIPアドレスはNASのIPアドレス(前もって調べておいて下さい。例では192.168.1.128になってますが、今回の例では192.168.1.128はt5630wのアドレスに使用したのでこれは間違ってますね)
yyyyはNASの共有フォルダー名(例ではdisk)
XXXXはWindows PCのユーザー名を指定します。(例では隠してます。テスト用に仮に付けた恥ずかしい名前なので(笑))
passwordはNASに設定していれば記述して下さい。設定してなければ画面写真の様に未記入で良いです。
画面写真では行が長いので途中で切れてますがちゃんと最後まで入力しています。
追加したらセーブして終了します。
mkdir /musicと入力。
mount -aと入力。
ln -s /music /var/lib/mpd/musicと入力。
(画面写真では先程のNASのアドレスを間違って記述したためにエラーで怒られてますが気にしないように(笑)。ちなみに後で間違いは直しました))
④自動ログオフの設定
普段Voyage MPDを入れたt5630wはモニター,キーボードを接続せず単体で使用するため、電源ボタンを押せば自動でログオフして電源が切れるように設定します。
apt-get install acpidと入力。
nano -w /etc/acpi/events/powerと入力
新規ファイルが開くので以下の2行を追加
event=button/power
action=/sbin/shutdown -h now
追加したらセーブして終了。
⑤自動ログオンの設定
この設定は必須ではありませんが、自動ログオフ→電源OFFをやるなら電源ON時も電源ボタンを押したら電源ON→自動ログオンも出来るようにしたいという方は以下の設定を行って下さい。(モニターもキーボードも使わない場合は設定しておくと便利です。)
画面写真を撮り損ねてしまいましたが、コマンド待ちから以下のコマンドを入れて下さい。
adduser ユーザー名
(今回はadduser kancolaと入力してkancolaというユーザーを作りました。)
passwordを2回聞いてきますので設定して下さい。
その他Full NameとかRoom Numberとかいろいろ聞いてきますが、全部enterを押して下さい。最後にIs the information correct?と聞いてきますのでyを押します。これでkancolaというユーザーが追加されました。
nano /etc/shadowと入力。
最終行にkancolaの記述があります。
kancola:以降の文字を全て削除します。(この部分はパスワードを暗号化したもの)
削除したらセーブして終了します。
nano /etc/inittabと入力。
この画面写真の場所を捜します。
このうちtty2番の行を以下のように修正します。
【修正前】2:23:respawn:/sbin/getty 38400 tty2
【修正後】2:23:respawn:/bin/login xxx /dev/tty2 2>/dev/tty2
xxxは先程追加したユーザー名です。今回の例ではkancolaです。
修正が終わったらセーブして終了します。
⑥MPDの起動テスト
ここまでの設定が終わったらMPDがちゃんと動くかテストします。
コマンド待ちから/etc/init.d/mpd stopと入力します。
[ok]Stopping Music Player Daemon: mpd.と表示されます。
続けてコマンド待ちから/etc/init.d/mpd startと入力します。
エラーメッセージが出ずに[ok]Starting Music Player Daemon: mpd.と表示されればMPDは正常に動いています。
何らかのエラーメッセージが出た場合はどこかの設定をミスっていますので再度今までの設定を点検して下さい。
以上でVoyage MPD(t5720)の設定は全て終了です。
電源ボタンを押してちゃんと自動ログオフ(電源OFF)、自動ログオン(電源が入ってvoyage login:と聞いてくればOK)が動作するかも確認して下さい。
引き続きWindows PCにVoyage MPDをコントロールするためのMPDクライアントソフトをインストールして設定をすれば全ての作業は終了です。
もう少しですので頑張って下さい。
あと余談ですが出来ればrootのパスワードをvoyageから他のものに変更しておいた方がセキュリティ上好ましいかと思います。
変更方法はコマンド待ちから(rootでログインしている事)
passwdと入力して画面の指示に従って下さい。
(画面写真が無くてすみません)
⑦MPDクライアントの設定
今回はwindows側のクライアントソフトとして「Gmone Music Player」を使ってみます。
http://gmpclient.org/から最新版をダウンロードしてインストールして下さい。
インストールしたらGmone Music Playerを起動します。
メニューバーの「music」から「preferences」を選ぶと下の画面が出てきます。
Nameは適当に何でも良いです。HostはVoyage MPDでt5630wを固定したIPアドレスを記入します(画面写真は違っていますが今回の例だと192.168.1.128でした)。Portは変更してないのでデフォルトの6600で良いです。設定が終わればCloseを押します。
メイン画面に戻ったらVoyage MPDと無事繋がれば、黄色い帯でconnected to MPDというメッセージが表示されます。
無事繋がったらメニューバーの「Server」から「UpDate Database」をクリックします。
画面左側のタブのなかから「Database」を選んで待ちます。(曲数にもよりますが結構時間がかかる)
「Directories」の欄にNASの中のフォルダー構成や曲の一覧が表示されれば無事成功です。
以上で全ての設定は終わりです。思う存分音楽を楽しんで下さいね。
いかがでしたか?
無事音は出ましたでしょうか。良い結果が得られますことを願っております。
一度音出しが出来ればVoyage MPDの設定や使いこなし方などいろいろな情報を扱っておられるサイト様がたくさんありますのでぜひそれらも参考になさってください。
長々とおつきあいいただきありがとうございました。
【おことわり】今回の導入手順はこの記事用のネットワーク、マシン等の環境を作って行いました。私の自宅で普段稼働してる環境とは違いますことをお断りしておきます。
【参考サイト様】
「PCで音楽」様、「みみず工房」様
勝手ではありますが参考にさせていただきました。ありがとうございました。
(2017年1月22日:記) 一応私の用意したテスト環境ではこの手順できちんと動くことを確認しておりますが、記事中に間違いがあればどうぞご指摘をお願い致します。なお、それぞれの環境によっては上手く動かない場合もあることはご承知願います。
【Voyage MPD】0.10.0のインストール全手順(t5630w・その2)
【用意するもの】
①Voyage MPDの本家サイト(http://linux.voyage.hk/voyage-mpd)からVoyage MPDの「Live CD」のデータ(isoファイル)をダウンロードし、CD-Rに焼いたもの。
今回のバージョンは現時点(2017年1月22日)で最新の0.10.0です。
②t5630wにモニター,キーボード,USB外付けCDドライブを取り付け、LANケーブルをつなぐ。
キーボードはUSB接続のモノは認識が不安定な場合があるので、昔ながらのPS2接続のモノの方が良いようです。(ジャンクでも何でも使えればいいです)
③音楽データの入ったNASを用意。(今回は一例として共有フォルダを「disk」という名称にして、その中に更にフォルダを作って音楽データを入れています)
④USB-DACを用意し、t5630wに接続しておく。
⑤設定に使うWindows PCに「SSHソフト」をインストールしておく。
インストール作業及びインストール後の環境設定はWindows PC側から「SSHソフト」でt5630wにLAN経由でアクセスして行います。今回私は使いやすさで定評の「putty」(http://www.chiark.greenend.org.uk/~sgtatham/putty/download.html)を使用しました。(MacでのSSH接続方法もネット上に情報がありますので参考にして下さい。)
以上の準備が整ったら次に行きます。
【t5630wのBIOSの設定】
t5630wのBIOSを設定します。
電源を入れ、このHPのロゴマーク画面が出ている間にF10キーを押してBIOS設定画面に入ります。
ここでは以下の設定を行います。一番肝心なのは内蔵オーディオを無効にすること。
①システム日付を確認(狂っている場合は一応合わせる)
②内蔵オーディオOFF「Integrated Audio→Disabled」
③シリアル・パラレルポート→Disabled
④ブートデバイスの設定 ファースト→USB
セカンド→ATA Flash
サード→network
以上の設定が終わったらBIOSをセーブして終了する。
ここで再起動し「LIveCD]をセットしたCDよりブートする。
【t5630wを立ち上げる】
①無事ブートしてこの画面が出たら一番上の「voyage Linux」を選ぶ。
ブート中に「このベンダーはサポートしていません」という旨のメッセージが出ますが、t5630wがVIAのチップセットであるためで、気にしなくても良いです。
②しばらく待って「Voyage Login」と出たらroot(初期設定のアカウント)と入力しenterを押す。
③「Password」と出たらvoyage(初期設定のパスワード)と入力しenterを押す。
④しばらくして「root@voyage~#」が出たらifconfigと入力しenterを押す。
⑤「inet addr:192.168.×.×」の値をメモします。これがこの時点でt5630wに割り当てられたIPアドレスです。
ここまで来たらt5630wはこのままにしておきます。
この後はwindows PCからSSHソフトを使用してt5630wにアクセスしてインストールの続きを行います。
【インストール手順】
①Windows PCでSSHソフト(今回は「putty」を使用)を立ち上げる。
「ホスト名」の所に先程メモしたIPアドレスの数字(192.168.×.×)を入力して「開く」をクリック。
これでt5630wとWindows PCが接続されます。以降の設定はWindows PC側から「putty」を使用して行います。
もしこんな画面が出たら「はい」をクリックしてください。
この画面が出たらt5630wとの通信は成功しているのでlogin as:でrootと入力。
passwordにはvoyageを入力。
この画面が出たらt5630wとの接続は成功です。
これから先はコマンド操作となりますので一字一句間違えないように(文字と文字の間に空白の有り無し、iとl、0とoなどの間違いなど)気をつけてゆっくり確実に入力していって下さい。
基本的にはファイル編集のコマンド(後述する先頭にnanoと付くコマンド)以外は入力すると何のメッセージも出ず、root@voyage~# と次のコマンドの入力待ちになります。何かメッセージが出たらコマンドが間違っています。
下はコマンドの文字を間違えてメッセージが出た例です。
ln -sをin -sと間違って syntax error(綴り間違い) と表示されてます。
あくまでこれは一例ですのでエラーメッセージが出たら良く読んで対処して下さい。
あと、コマンドによっては処理に時間が掛かるものもありますので慌てず次のコマンド要求を待って下さい。
t5630wとの接続が成功したらインストールの続きを行います。
②インストールするフォルダを作成。
mkdir /tmp/rootと入力。(当たり前ですが入力後はenterを押して下さいね)
mount -o loop /lib/live/mount/medium/live/filesystem.squashfs /tmp/rootと入力。
cd /tmp/rootと入力。
③インストール先にマウントポイント作成。
mkdir /tmp/cfと入力。
④インストール先のフォーマット
/usr/local/sbin/format-cf.sh /dev/hdaと入力。
enterを押す(フォーマットが開始される)。コマンド待ちに戻るまで待ちます。
⑤インストール時の設定開始
/usr/local/sbin/voyage.updateと入力。
これ以降は質問に答えていく形式になります。
1を入力。
何も入力せずenterを押す。
2を入力
デフォルトは7になっているが、今回は普通のPC(t5630w)にインストールするので9(Generic PC)を入力。(ここを間違えたら動かないので絶対に間違わないこと)
3を入力。
/dev/sdaと入力。
1を入力。
何も入力せずenterを押す。
4を入力する。
何も入力せずenterを押す。
1を入力する。
5を入力する。
2を入力する。
6を入力する。
1を入力する。(今回はt5630wの内蔵フラッシュメモリにはVoyage MPDだけをインストールするので1で良い)
7を入力する。
今までの設定内容が表示されるので、この通りの設定になっているか確認する。
違っていればどこかで入力ミスをしているのでnを押して該当項目を設定し直す。
この通りになっていればyを押す。
インストールが開始される。
ファイルのコピーが終わったら質問が出ますので8を入力。
root@voyage:/tmp/root#が表示され止まったらインストール完了です。
CDドライブを取り外します。
rebootと入力してt5630wを再起動します。
これでインストール自体は完了しました。
引き続きVoyage MPDの各種設定を行っていきましょう。
次の記事に続きます。
【Voyage MPD】0.10.0のインストール全手順(t5630w・その1)
みなさま、あけましておめでとうございます。2017年・新年一回目の更新になります。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
ずいぶん前にVoyage MPDのインストール手順の記事を書きました。
今回は現在の最新バージョンである0.10.0のインストール手順を纏めたいと思います。
とりあえずVoyage MPDをインストールしてとにかく音を出す、というところまで書きたいと思います。
それ以上のチューニングとか必要な個別設定などは詳しい解説サイトが数多くありますのでそちらをご覧下さい。
今回は前回同様格安のジャンク扱いで売っていたHPのシンクライアントPC t5630wにインストールしてみました。
なぜシンクライアントPCに私が拘っているかというと、コスパが良いこととファンレスPC(つまりは静音)だからです。
汎用のPCでも同じ手順でインストール出来ると思いますので参考になればと思います。
まず、今回の導入環境です。以下の環境で行いました。
その前に当ブログの「【Voyage MPD】激安で高音質なPCオーディオ環境を構築する(その1~その6)」の記事にざっと目を通しておいていただけると幸いです。
①今回インストールするのはHPのシンクライアントPC、t5630wです。今回新たに1台格安で(ジャンク扱い980円)で入手してきました。どノーマル機です。仕様は「CPUはVIA Eden 1GHz,メモリは1GB DDR2 SODIMM,記憶装置として2GBのSSD(フラッシュメモリ)を内蔵」となります。
前回まではt5720にインストールしていたのですが、今回のバージョンからはアップデートするとt5720の512MBのSSDでは容量が足りないため今回はt5630wを用意しました。
②インストールにはt5630wの他にWindowsかMacが一台必要ですが、今回はWindows機を使用します。私は仕事でMacを使うだけで自分で所有しておりませんので。(Macでのインストールは他のサイト様も参考になさって下さい。SSHソフトの使い方が違うだけで基本的な導入手順は同じです。)
③楽曲データはNASから読み込む事とします。USB外付けHDDやUSBメモリからでも読み込めますが、使い勝手を考えると現実的にはNASが最適だと思います。(USBを使う場合は他のサイト様も参考になさって下さい。)NASはまあ当然でしょうけどIPアドレスを固定しておいて下さい。私はNASに楽曲データをFLAC形式でリッピングして保存したものを使用しました。
④インストールはUSB外付けDVDドライブから「Live CD」を使用して行います。USBメモリからインストールすることも出来ますので、その方は他のサイト様も参考にされて下さい。
⑤DACは今回自作のUSB DACを使用しましたが、これは「USB Audio Class 2.0」準拠のUSB DACであれば何でも大丈夫だと思います。(Linuxは「USB Audio Class 2.0」に標準で対応しているため)
前提条件は以上です。
【t5630wシンクライアントPCの前準備】
この項はシンクライアントPCを使わない方は読み飛ばしていただいてかまいません。
今回も前回同様、シンクライアントPC特有の問題を回避するための前準備を行います。
以前の記事でも書きましたが、私のVoyage MPDインストール済みのt5720で「プレイリストが作れない」という事象が発生しました。
私は普段プレイリストとかは作らないので発見が遅れたのですが、ある日「ネットラジオでも聴いてみよう」と思い、ネットラジオ用のプレイリストを作って保存したにも関わらず、電源を切ると消えてしまっているのです。
これはシンクライアント特有の「データはメモリ上に格納され、電源を切ったら消える」という機能のためと思われます。この機能はシンクライアント専用のWindows XP Embeddedを入れた時だけ機能するものだと思っていたのですが、どうもハードウェアにも依存しており、設定をSRAMかどこかで保持しているようです。(調べて見ましたがハードウェアに関する資料が見当たらないため確証は無いのですが、作成してセーブしたはずのファイルが電源を切ると消えるというのはこの機能が働いているとしか考えられないと思います。)
そこで、Voyage MPDのインストール前に一度Windows XP Embeddedをインストールしてこの機能を切ってからVoyage MPDをインストールしてみましたら、無事プレイリストがちゃんと保存されました。今回もこの手順を以下で説明します。
まずは設定が消えないようにSRAMのバックアップ電池を一応交換しておきます。(中古は多分電池がヘタっていると思いますので)t5630wのネジを外してカバーをずらして開けていくと内部に辿り着きます。電池ソケットがありますので電池を交換して下さい。電池は100均にも売っているCR2032が1個です。
BIOS画面への入り方はこの画面が表示されているときにF10キーを押します。
次にBIOSを工場設定値に戻してセーブします。
次にインターネットに繋がっているパソコンからHPのホームページのt5630w用のダウンロードページに行きます。(「t5630w Windows」とでも検索すれば見つかります。)
ここで「Windows Embedded Standardイメージバージョン5.1.926A」をダウンロードします。exe形式でダウンロードされますのでこれを実行してUSBメモリーにイメージを展開します(USBメモリーはフォーマットされたのちイメージが展開されますので空のメモリーを用意してください。)
次にt5630wにUSBメモリーを繋いでUSBメモリーからブートします。
2回質問してきますので両方yを答えます。するとフォーマットが始まり、その後インストールが始まります。
何度か再起動した後、最終的に「User」というアカウントでWindowsが立ち上がります。
この後、管理者モードでログインし直すのですが、その手順はここには直接は書きません。なぜならまだこのt5630wが現役で使われているところがあればイタズラされる恐れがあるからです。
その方法は「t5630w クイックリファレンスガイド」で検索すると「HP Thin Client用 Microsoft® Windows Embedded Standard(WES)2009クイック リファレンス ガイド」というPDFファイルが見つかりますのでその中に「管理者ログオンへのアクセス」という項目で書いてあります。
管理者でログオンしたら、右下の南京錠のアイコン(初期状態は緑)を右クリックし、メニューから「EWF無効」を選択します。
南京錠のアイコンが赤色になればOKです。t5630wをシャットダウンします。
以上でt5630wのVoyage MPDインストール前準備は完了です。
【Voyage MPDインストール用Live CDの準備】
Voyage MPDのダウンロード元ですがここで間違う方が多いようなので説明します。
上の画面はVoyage MPDの公式サイトhttp://linux.voyage.hk/voyage-mpdですが、良く間違えて「Voyage Linux」のボタンを押してダウンロードされる方が多いようです。正しくは「Voyage MPD Live CD」のリンクもしくはダウンロードボタンですので間違えないようご注意ください。
ファイルはISOイメージでダウンロードできますのでこれをCDに焼いて下さい。以上でt5630wの前準備およびVoyage MPDのインストール用Live CDの準備は終了です。
ここで一旦記事を分けます。次回からVoyage MPDをt5630wにインストールしていきます。